今回は、戦略系コンサルと会計・総合系コンサル(非戦略など呼び方は様々)の大枠の「ビジネスモデル」の違いについてお伝えします。
これを読んであなたも戦略コンサルと会計・総合系コンサルのビジネスモデルを理解するところから、あなたがどのコンサルファームに進むべきなのかを考えてもらえればと思います。
入社のしやすさや難易度だけで言えば、圧倒的に会計・総合系コンサルファームになりますが‥。
そのあたりの理由も含めて説明していきます。
戦略系コンサルと会計・総合系コンサルの「ビジネスモデル」の違いを理解する
コンサルタントの種類を見ることは歴史好きな人以外は意味がないという話は以前しましたが、ファームごとの経営状況を知っておくことは、あなたが今後どのファームに入るべきなのか、どんなビジネスモデルの会社の一員になりたいのかを考える上で必要です。
戦略系と会計・総合系では「ビジネスモデル」は全然違います。
なので、この違いをしっかりここで比べてください。
そのうえで、あなたがどうして戦略系コンサルじゃなくて会計・総合系コンサルに行きたいのか。
もしくは、会計・総合系ではなくて戦略系コンサルに行きたいのか、ここをしっかり意思表示できるようになっておきましょう。
例えば、アクセンチュアに入社の意思表示をした際に、「どうして君ほどの人間なら戦略系コンサルにも行けるのにそっちにはいかないのか?」という面接官からの質問をもらったとしても、両ファームのビジネスモデルの違いを理解してさえいれば、あなたなりの言葉で、核心を突いた志望理由を答えられるはずです。
それでは、両ファームのわかりやすい違いを取り上げて説明してきます。
ちなみに、以下に挙げているA社とB社のコンサルティングファームの経営状況は、架空の平均数値をあげているので、両ファームの規模感の違いを理解するための数値として見てください。
まぁ具体的な会社名を上げて言うと、、
マッキンゼー⇒A社、
アクセンチュア⇒B社
だと考えてもらえればイメージしやすいかと思います。
戦略系コンサルAと会計・総合系コンサルBの「資本金」の違い
戦略コンサルの規模では資本金は、5000万円〜1億円ほどです。
対する会計・総合系コンサルは2~3億円の規模となります。
とはいっても、コンサルティングファームが多額の初期投資が必要なビジネスではないので、資本金の規模にはそれほど経営状況を左右する要素はありません。
両者の差が大きいのはそこではないのです。
戦略系コンサルAと会計・総合系コンサルBの「従業員数」の違い
戦略系コンサルの従業員数は、100~200人程度です。
が、会計・総合系の場合、3000人〜5000人という規模になります。
これは会計・総合系が、システム開発要員やプログラマーなどの実際のシステム構築に関わる人材を多く抱えていることから、こういった大所帯となっているのが一般的です。
アクセンチュアなんかで言うと、もはや世界最大の大所帯コンサルティングファームになっていくんじゃないかなと思います。
戦略系コンサルAと会計・総合系コンサルBの「売上高」の違い
次に売上高の違いを見てみると、戦略系は50~60億円ほど。
会計・総合系は、500~600億円という規模になってきます。
戦略系コンサルAと会計・総合系コンサルBの「従業員一人当たりの年間売上高」の違い
ただし、これを従業員一人当たりの年間売上高で計算してみると、戦略系は3000~3500万円になるのに対して、会計・総合系は1500~1800万円程度と、およそ戦略系の半分ほどでしかないことがわかります。
つまり、こういった理由から、単純に戦略系のコンサルタントの方が会計・総合系のコンサルタントよりも、一人当たりの生み出す付加価値が高いことがわかるのです。
戦略系コンサルAと会計・総合系コンサルBの「経常利益」の違い
さらに、売り上げに対してどれだけの経常利益があるのかについての違いをみると、戦略系は8~10%であるのに対して、会計・総合系は2~3%という規模感になります。
ただし、これは決して会計・総合系の方のパーセンテージが著しく低いわけではなくて、戦略系の経営効率が異常なまでに高いという見方が正しいです。
戦略系コンサルAと会計・総合系コンサルBの「儲け方」の大きな違い
戦略系ファームのコンサルタントは、一時間で何円という計算で日々のフィーが割り出され、その金額×日数という形で、かなり堅実な数字の積み重ねによって収入が決まります。
一方の会計・総合系ファームは、巨大なITシステム導入案件を数カ月規模に渡って、導入するか、導入しないかによってかなり収益獲得には波があり、大規模なプロジェクトが受注できない日が続くと、大量に抱えている人材の稼働率が下がり、利益率が落ちてしまうということになるわけです。
つまり、簡単にいうと戦略系は、コツコツ積み立て型で、会計・総合系はドカンと一発逆転型というイメージしやすいでしょう。
というわけで、このあたりの違いを理解してないことがバレたときにコンサルタントの面接官にはドン引きされる恐れがあるので、コンサル業界の常識だと思ってある程度のビジネスモデルの規模感の違いくらいは理解しておいてください。
まとめ
ビジネスモデルという点から、新卒の入社難易度を比較すると、社員数が多いコンサルファームの方が難易度が低いことは一目瞭然です。
おまけに、戦略コンサル系の方が社員数も少なくて、一人当たりの経常利益率も高いわけですから、そりゃ難易度が高いのも当然と言えます。
さらに、昨今ではコンサルティング業界全体のビジネスモデルに変動が起きている理由からも、戦略系コンサルの需要がどんどん下がり、逆に会計・総合系コンサルの需要はうなぎのぼりであることも事実です。
そうすると、入社難易度の差で言うと、ますます大きく開いていくことは明らかですよね。
あと、これは余談ですが、、コンサル業界以外にも目を向けると、戦略コンサルというのも案外売り上げ規模はショボい業界なんです、実は。
というのも、参考までに挙げておくと、日本の製造業の中でもトップクラスの高収益企業として知られる産業用ロボットメーカーのファナックは2017年3月時点で、売上高が5300億円に上ります。
で、従業員数が3200人ほどなので、ここから一人あたりの経常利益を計算すると、なんと5300万円を超えるわけです。
この数字、アクセンチュアの戦略系コンサルでは年間300万円に及ばないくらいですから、ファナックは戦略系コンサルの企業の15倍以上です。
つまり、コンサルティングファームの多くは、自社の経営という視点で見れば、まったくもって儲かっている会社ではないわけです。
会計・総合系コンサル<戦略系コンサル<<<<<<<製造業で儲かってる企業<‥
これが一人当たりの経常利益の図で言うところの実態です。
コンサルタントが生み出している価値は大きいかもしれませんが、会社として生み出している力は、微々たるものなのです。なので、実力がついたらさっさとコンサルなんて辞めて、もっとおいしい業界に進みましょう。
コンサルタントとしてやっていける実力さえあれば、そんな人が事業会社の一定のポジションに就けますから、一瞬でコンサルタントの収入なんて上回りますよ。
それでは、また。